詠歌えいか)” の例文
心経寺の宿へかかった頃、行手からかねの音が聞こえて来た。つづいてご詠歌えいかの声がした。と一群の行列が、辻を廻わって現われた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
元義は大丈夫を以て、日本男児を以て、国学者を以て自ら任じたるべく、詠歌えいかの如きはもとよりその余技に属せしものならん。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「なんでござります。はァ、御詠歌えいかと申しまして、それ芝居なぞでも能くやりますわなア——お鶴が西国巡礼に……」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そしてふたりは、月ノ宮の御籠堂おこもりどうおいをおろしたが、古莚ふるむしろにつめたいゆめのむすばれぬまま、くこおろぎとともにもすがら詠歌えいかをささげて、秋の長夜ながよを明かしていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
 勅使は此家にかぢと申女る由此所へいだしませいと云るゝに彌々いよ/\仰天ぎやうてんしながら何事やらんと漸々やう/\連出しかば 勅使は其方は冥加みやうがかなひし者かな汝が詠歌えいか殿下でんかへ相聞え其上 當吟たうこんの 叡覽えいらんそなへられし所名歌めいかなりとて仙歌へ御くはへ遊ばされなほ又 叡感えいかんの餘り 御宸筆しんひつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お綱は遠いところの、かね詠歌えいかの声に、思わず耳をすませられた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜籠りの詠歌えいかりん
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)