訓誡くんかい)” の例文
門人の浜田寅之助は、ただ今あちらで、破門をいい渡し、向後こうご、心を改めて修行いたすよう、よく訓誡くんかいしておきました。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼が訓誡くんかい到れり、尽せり。しこうして彼はなおあきたらずして、左の書をその叔父玉木に与え、以て家族婦人の教養を托せり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
蘇武の存在は彼にとって、崇高な訓誡くんかいでもあり、いらだたしい悪夢でもあった。ときどき彼は人をつかわして蘇武の安否を問わせ、食品、牛羊、絨氈じゅうせんを贈った。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
君ももしYに会ったら訓誡くんかいしてやってくれ給え。二度と再び島田に裏切るような不品行をしたなら、う世の中へ出て来られない。一生のすたれ者になってしまう。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
けれども村の者はみんな賭博をして巻き上げられたと評判している。いなかでもこうだから、東京にいるお前なぞは、本当によく気をつけなくてはいけないという訓誡くんかいがついている。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
待網を掛けて雑魚ざこを捕りひそかに寺へ持帰もちかえって賞玩しょうがんするのだ、この事檀家だんかの告発にり師の坊も捨置すておきがたく、十分に訓誡くんかいして放逐ほうちくしようと思っていると、当人の方でもあらかじめそのあたりの消息を知り
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
それがいま、日頃の訓誡くんかいをやぶって逐電ちくてんしたのであった。あきらかにこれは老公が裏切られたかたちといえる。やりばのない憤りを抱いておられるか。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、骨休めにと、茶を入れて、宥わり慰めてくれる間も、母はそうした訓誡くんかいを、兄弟ふたりに対して、忘れなかった。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のみならず、しばしば謙信の明示している士道の訓誡くんかいも踏み外してしまう。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生前、毛利元就は、その遺子たちに、こう訓誡くんかいしていたという。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)