襤褸切ぼろぎれ)” の例文
水底みづそこ缺擂鉢かけすりばち塵芥ちりあくた襤褸切ぼろぎれくぎをれなどは不殘のこらずかたちして、あをしほ滿々まん/\たゝへた溜池ためいけ小波さゝなみうへなるいへは、掃除さうぢをするでもなしにうつくしい。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
八五郎に導かれて行ってみると、大溝おおどぶの中に落込んで、襤褸切ぼろぎれのようになっているのは、玉屋の番頭甚助の死骸。まだ検死が済まないので、手を付ける者もありません。
水底のその欠擂鉢、塵芥ちりあくた襤褸切ぼろぎれ、釘のおれなどは不残のこらず形を消して、あおい潮を満々まんまんたたえた溜池ためいけ小波さざなみの上なる家は、掃除をするでもなしに美しい。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と云う内にも、襤褸切ぼろぎれや、うりの皮、ボオル箱の壊れたのはまだしもで、いやどうも、言おうようのないあくたが目に浮ぶ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)