葛餅くずもち)” の例文
僕等は、「天神様」の外へ出た後、「船橋屋ふなばしや」の葛餅くずもちを食ふ相談をした。が、本所ほんじよ疎遠そゑんになつた僕には「船橋屋」も容易に見つからなかつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
エイと左の肩より胸元へ切付きりつけましたから、はすに三つに切られて何だか亀井戸かめいど葛餅くずもちのように成ってしまいました。
第七十六 ブラマンジ は葛餅くずもちに似たようなもので先ず一合の牛乳を沸かして大匙二杯の砂糖を加えます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
三人がひとしく笑う。一疋の蟻は灰吹はいふきを上りつめて絶頂で何か思案している。残るは運よく菓子器の中で葛餅くずもち邂逅かいこうして嬉しさの余りか、まごまごしている気合けわいだ。
一夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
びいどろ色をした、葛餅くずもち色の重なった山脈の頂に日が射していて、そこだけほの明るく神のいたまうような気配すらあるが、私の胃の襞に酸が下って来て停らない。
老婆はこう云って、縁台の上の土瓶どびんへ湯を注ぎ、そこにある葛餅くずもちの空き皿を片づけて戻っていった。
雪と泥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
美しく水々とした紅白の葛餅くずもちのようなものを、先生が好きだと見えてよく呼ばれたものである。
夏目漱石先生の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「お茶召しあがりませ」と言いながら、名物葛餅くずもちの皿と茶盆ちゃぼんとを縁台の端に置いて行った。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
そこで葛餅くずもちでは古舗の名のある亀戸の船橋屋から蜜だけ時々もらってそれをやる。
舌のすさび (新字新仮名) / 吉川英治(著)
毎晩そんな時間になると、大抵蜜豆とか、芋の壺焼つぼやきとか、鯛焼たひやき葛餅くずもちのやうなものを買つて来て食べる癖がついてゐたが、その晩もいくらかメンタルテストの意味で、咲子におでんを買はせにやつた。
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
葛餅くずもちが来たよ。お食べ。」
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
そこでゼリー型があれば結構ですし、なければブリキの深い鉢でもようございますから一度水で中をらして今の物を入れて夏ならば水の中へ漬けておくと固まって葛餅くずもちのようになります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
チョコレートブラマンジ 秋 第二百二十四 西洋の葛餅くずもち
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
セーゴブラマンジ 秋 第二百二十四 西洋の葛餅くずもち
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
第二百二十四 西洋の葛餅くずもち
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)