草花さうくわ)” の例文
草花さうくわも蝶に化する事本草ほんざうにも見えたり。蝶の和訓わくんをかはひらこといふは新撰字鏡しんせんじきやうにも見えたれど、さかべつたうといふ名義みやうぎいまだかんがへず。
よしや此縁このえんいとひたりとも野末のずゑ草花さうくわ書院しよゐん花瓶くわびんにさゝれんものか、恩愛おんないふかきおやさせてれはおなじき地上ちじやう彷徨さまよはんとりあやまちても天上てんじやうかなひがたし
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかし彼等は概して野生の草花さうくわの如く物優しく、その草花さうくわの根の風霜に耐へる如く根気強くおのが義務に忠実であるのです。(自分は日本の下級婦人の多数についても同じ感を持つて居る。)
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
生徒が草花さうくわの写生でもすると、玉泉はじつと覗き込んで
よしやこのゑんいとひたりとも、野末の草花さうくわは書院の花瓶くわびんにさゝれん物か。恩愛ふかき親に苦を増させて、我れは同じき地上に彷遑さまよはん身の、とりあやまちても天上はかなひがたし。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)