若僧わかぞう)” の例文
、戻しておくれ。仏天青は、こんな顔じゃない。もっと顔が長くてりっぱないい男だ。こんな若僧わかぞうじゃない。早く、返しておくれ
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おれ達には漠然ばくぜんとしか気付かれないものをハッキリ形に表す・みょうな才能が、この生意気な若僧わかぞうにはあるらしいと、子路は感心と軽蔑とを同時に感じる。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ズルスケはもう若僧わかぞうではありませんでした。犬に追いかけられたこともたびたびありますし、鉄砲のたまが耳のそばをヒュウヒュウかすめていったこともあります。
冥土めいどの土産に聞かしてやるが、さっき、若僧わかぞう運転士をおびき出してやったのもこっちの計略だ。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
出がけに表戸の前で、「あの若僧わかぞうすっかり震え上ってしまいおった。」とか「今夜は久し振りに飲めるぞ。」とか二人で話し合いながら出てくのを、わたしはこっそり立聞きしていました。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「阿呆、何ぬかす。わがのやうな若僧わかぞうに頼まんかて俺達は困る事あらへんぞ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
王さまとしては、これでこの若僧わかぞういはらうことができると思ったのです。
小形の牛だと言ふから、近頃青島せいとうから渡来とらいして荷車にぐるまいて働くのを、山の手でよく見掛ける、あの若僧わかぞうぐらゐなのだと思へばい。……荷鞍にぐらにどろんとしたおけの、一抱ひとかかえほどなのをつけて居る。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あの若僧わかぞうとは、この前、R大学研究所で会ったことがある。二百グラムのラジウムの盗難事件が起ったあの研究所だ。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「先生、あの若僧わかぞうはどうしましょう。先生の傷はどうですか」
空中墳墓 (新字新仮名) / 海野十三(著)
“こんな若僧わかぞうじゃない!”
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)