あで)” の例文
新字:
かたほそく、片袖かたそでをなよ/\とむねにつけた、風通かぜとほしのみなみけた背後姿うしろすがたの、こしのあたりまでほのかえる、敷居しきゐけた半身はんしんおびかみのみあでやかにくろい。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
我黄金をおん身と分ちて、おん身のあでやかなる姿を飾るかてとなさんとこそ願へ。貴き飾を身に着け給はば、おん身の美しさ幾倍なるべきぞ。おん身の友だちは皆おん身を羨むべし。
ああ是れぞ横笛が最後の住家すみかよと思へば、流石さすがの瀧口入道も法衣ほふえの袖をしぼりあへず、世にありし時は花の如きあでやかなる乙女をとめなりしが、一旦無常の嵐にさそはれては、いづれのがれぬ古墳の一墓のあるじかや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)