ふくらはぎ)” の例文
フェッジウィッグのふくらはぎからは本当に火花が出るように思われた。そのふくらはぎは踊のあらゆる部分において月のように光っていた。
くつも、靴下くつしたも、ふくらはぎ真黒まっくろです。緑の草原くさはらせいが、いいつけをまもらない四人の者に、こんなどろのゲートルをはかせたのです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
それから、床着とこぎの黄八丈を着て、藤紫の上衣を重ね、結んだしごきは燃え立つようなくれない。そのしどけなさ、しどけなく乱れたすそ、燃え上がる裾に、白雪と紛うふくらはぎ
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
イワン・フョードロヸッチはひどく夢中になつて、さうしたものに見惚れてゐたが、馭者台から降りたばかりの猶太人のふくらはぎ斑犬ぶちいぬが噛みついた時、はじめて我れに返つた。
それから歯と耳と足は短きを欲し、胸と額と眉間みけんは広きを欲し、上の口と腰と足首は狭きを欲し、しりももふくらはぎは大なるを欲し、指と髪と唇は細きを欲し、乳と鼻と頭は小さきを欲す。
頭脳がぐらぐらして天地が廻転かいてんするようだ。胸が苦しい。頭が痛い。脚のふくらはぎのところが押しつけられるようで、不愉快で不愉快でしかたがない。ややともすると胸がむかつきそうになる。
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
今云つたサムのふくらはぎが痛くなつたに相違ないと思はれる迄に、さん/″\行つたり來たりした揚句あげく、とう/\、やつとのことで、そのきびしい女占者をんなうらなひしやから許しを無理に得て、三人は、一團になつて
ある一定の時において、次の瞬間にそのふくらはぎがどうなるか予言せよと云われても、何人にも出来なかったに相違ない。
反対はんたいに、ちいさなエチエンヌの清浄無垢せいじょうむくなことは、その薔薇ばらいろのふくらはぎに、後光ごこうのようにあらわれているでしょう。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
彼女の動作は、大きく弱々しく、ほどよく伸びたふくらはぎが、いまにも折れそうになっていく。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
重い、けだるい脚が一種の圧迫を受けて疼痛とうつうを感じてきたのは、かれみずからにもよくわかった。ふくらはぎのところどころがずきずきと痛む。普通の疼痛ではなく、ちょうどこむらがかえった時のようである。
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)