胸掛むねかけ)” の例文
白い胸掛むねかけをした鶴子は、むしろ其美しきをえらんでみ且摘み、小さな手に持ち切れぬ程になったのを母の手にあずけて、また盛に摘んで居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
光線くわうせんるべく餘計よけいれるやうあかるくこしらへた部屋へや二側ふたがはに、手術用しゆじゆつよう椅子いす四臺よだいほどゑて、しろ胸掛むねかけをかけた受持うけもちをとこが、一人ひとりづゝ別々べつ/\療治れうぢをしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
吾にえった彼の眼の前に、両手りょうてにつまんで立った鶴子のしろ胸掛むねかけから、花の臙脂えんじがこぼれそうになって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)