胸乳むなぢ)” の例文
真子まなごなす御神の子等は、木綿ゆうあさね髪らし、胸乳むなぢをしあらはし出だし、裳緒もひもをばほとに押し垂れ、歌ひ舞ひ仕へまつらふ、今日の尊さ
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
胸乳むなぢのたっぷりした重さ、腰まわりのいっぱいな緊張感、痛いほど張った太腿ふともも。そのくせ胴は細く緊って、手足も先端にゆくほどすんなりと細い。
寒橋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
勝ちて相問うことを得ず、天鈿女あまのうずめすなわちその胸乳むなぢあらわにかきいでて、裳帯もひもを臍の下におしたれて、咲噱あざわらいて向きて立つ〉、その名を問うて猿田彦大神なるを知り、〈鈿女また問いて曰く
伏しまろび、胸乳むなぢおさへて
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
胸乳むなぢのふくらみひらむまでに
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
診察用の夜具の上に仰臥ぎょうがしているその女は、小袖の衿で胸乳むなぢを隠したまま、はだかっている下半身には気もつかないようすで、いかにも満ち足りたように、静かな深い呼吸をしていた。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
姫が胸乳むなぢもさながらに
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
胸乳むなぢいままた張高はりだか
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
女客はいま起きたところらしく、二布ふたの一枚で上半身はあらわだった。女中が声をかけたのも聞えなかったものか、吃驚びっくりして、美しい胸乳むなぢを隠したが、自分はこれから帰る、と声をひそめて云った。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
胸乳むなぢのあたりなびく雲
都喜姫 (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
また胸乳むなぢのあたりを見た。
契りきぬ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
胸乳むなぢ眞白に、濡髮を
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)