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肩越
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かたご
一学は舌打ちをして
肩越しに眼を向けた。三十四五の
旅商人にしては
陽焦けの浅い男である。
眸がぶつかると、急に世辞笑いをして
愛ちやんは
陪審人が
殘らず
其の
石盤に、『
愚物だわねえ!』と
書きつけてゐるのを、
皆なの
肩越しに
全然能く
見ました、それのみならず
愛ちやんは
……そして、
肩越しに
此方を
見向いた、
薄手の、
中だかに、すつと
鼻筋の
通つた
横顏。
手を
廻してその
腕くびをつかんだかと思うと、あざやかに、大の男を
肩越しに投げた。