置処おきどころ)” の例文
旧字:置處
これが私を殺すのです——と云って、置処おきどころのなさそうな顔をそむける。猿轡さるぐつわとか云うものより見ても可哀あわれなその面縛めんばくした罪のありさまに
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
実は身の置処おきどころがなくって饂飩屋になった又作だ、こゝで千円の資本もとでを借り、何か商法に取附とりつくのだ、君も又貸したって、よろしいじゃアねえか
うにもうにも逃げようにも逃げられず、真裸体まっぱだかで座ってお辞儀も出来ず、進退きゅうして実に身の置処おきどころがない。奥さんも気の毒だと思われたのか、物をも云わず奥の方に引込ひきこん仕舞しまった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
余所よその家内でございます。連戻されるほどでしたら、どこの隅にも入れましょうが、このままでは身の置処おきどころがありません。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
じろじろめるようで、置処おきどころないまでに、右から、左から、みちをせばめられて、しめつけられて、小さく、堅くなつて、おどおどして、その癖、け出そうとする勇気はなく、およそ人間の歩行に
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あわれに心細くものすごきに、身の置処おきどころあらずなりぬ。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あはれに心細くものすごきに、身の置処おきどころあらずなりぬ。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)