糸魚川いといがわ)” の例文
やがて、糸魚川いといがわの町口が見えた。と、驚くべき秩序美ちつじょびをもった軍隊が、迎賓げいひんの礼をって待っていた。町中、道々も、ちりひとつなかった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
糸魚川いといがわ街道をバスで下瀬まで、崖に生えた萩が、花をバスの中に散らした。下瀬から温泉までの路は、雨もよいの午後の光の中で美しかった。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
伏木ふしきから汽船に乗りますと、富山の岩瀬、四日市、魚津、泊となって、それから糸魚川いといがわせき親不知おやしらず、五智を通って、直江津へ出るのであります。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
焼山の蝙蝠こうもりは、糸魚川いといがわ方面からは、分明に見えるというし、米山に鯉があらわれると、魚がれないという諺もある、頸城くびき郡の黒姫山の寝牛、同じく白鳥山の鳥など、雪の国だけあって
雪の白峰 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
第六日、姫川を下って大野村から自動車に乗り糸魚川いといがわにいたる。後親不知おやしらずの嶮を見、市振いちふりで午後五時三十七分の汽車に乗れば、金沢へ同九時二分着、第七日、自動車を尾添川の出合で下りる。
単独行 (新字新仮名) / 加藤文太郎(著)
という情報をうけとると、万一の変を考慮して、急に、兵をかえし、越後の糸魚川いといがわ城にはいって、八千余騎を、国境の変に備え
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船は十一分の重量おもみあれば、進行極めて遅緩ちかんにして、糸魚川いといがわに着きしは午後四時半、予定におくるることおよそ二時間なり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここは、糸魚川いといがわを去ること遠くない。——一行の中から、木村秀俊ひでとしが馬を飛ばし、糸魚川へ、先に、使いした。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれども、汽車は、越前の三国、敦賀つるが。能登の富来、輪島。越中の氷見、魚津。佐渡。また越後の糸魚川いといがわ能生のう、直江津——そのどこへ売られたのか、捜しようがなかったのです。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「まるで方角ちがい——北陸道の糸魚川いといがわと申すところだ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)