とっく)” の例文
来年母親さんがお出でなすったらとっくり御相談申して、誰と言ッてあてもないけれども相応なのが有ッたら一人しとり授けたいもんだ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
落ち着いてとっくりと考えてみるつもりでしたが、まんじりともせず懊悩し切った頭には、もうそういう冷静な思考力や判断力なぞは、ことごとくせてしまいました。
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
こう言われて七兵衛は、とっくりと考えてみる気になりました。暫く考えていたが、やがて仔細らしく
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
真堀の定蓮寺に海禪さんが留守居をして独りで居るから彼所あすこへ行って炉のはたに己が寝て居るから知れねえように中へ這入へえれ、左様そうすればとっくり寝物語にしてやろうと漸々ようようだましてわっちは一足先へ来たが
「マアサ私の言事いうことをお聞きヨ。それよりかアノ叔父も何だか考えがあるというからいずれとっくりと相談した上でとか、さもなきゃア此地こっちに心当りがあるから……」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
イエサ母親さんがお可愛かわいそうじゃアないかエ、マアとっくり胸に手をてて考えて御覧。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)