たかむら)” の例文
これが、十年前にカムチャッカで、汽船もろともオホーツク海の鉛色の海へ沈んでしまったと思われていた、たかむら栄二郎以下八名であった。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「はははは、厄介坊主やっかいぼうずめ、さすがのたかむら守人もそのあくたれにはほとほとてこずりおると見えるのう。はははははは」
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
やゝ曇りめし空にたかむらの色いよ/\深くして清く静かなる里のさまいとなつかしく
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
沼田川を渡り入野山中を経小野たかむらきやうなり。辰後一里半田万里市たまりいち。堀内庄兵衛の家に休す。主人みづから扇箱せんさうと号す。常に広島城市に入て骨董器を売る。頼兄弟及竹里みな識ところなり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
宿しゆくはづれの小川の橋際に今は唯だ一軒だけで作つてゐるといふとろゝ汁屋にとろゝを註文しておいて其處から右折、四五町して吐月峯に着いた。先づ小さな門を掩うてゐる深々しいたかむらが眼についた。
梅しろし吾がたかむらに飯食むと旅のつかれも忘れゐにけり
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
月光のもとには、深いたかむらが夜露に重くうなだれていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たかむら栄二郎の後ろにつづいていた五人の漁夫たちは、篁が立ちどまると、それにならってピタリと足をとめただけだった。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
たかむらつゞきの竹の秋の風情ふぜい、思ひ起すだに醉ふ樣な心地がする。
て聴けば寒夜かんや夜霜よじもきらふなりあはれなるかも前のたかむら
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一行六人は、たかむらを先頭にして、帯のように細長い岩廊コリドールを黙々と進んで行った。流れは幾度もうねるので、三十フィート以上遠くを眺めることができない。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
たかむらに遊ぶわらべ
第二海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)