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筇
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つゑ
一四葭がちる
難波を
経て、
一五須磨明石の浦ふく風を身に
一六しめつも、行々
一七讃岐の
真尾坂の
林といふにしばらく
一八筇を
植む。
七月
朔日四更に発す。
冷水峠を越るに風雨甚し。轎中唯脚夫の
筇を石道に鳴すを聞のみ。夜明て雨やむ。
顧望に木曾の
碓冰にも劣らぬ山形なり。六里
山家駅。
是はまた
格別の
賑はひ、
郡司大尉の
壮行をまのあたり見て、子や
孫に
語りて
教草にせんと、
送別の
外の
遊人も多くして、
帰さは
筇を
此に
曳きしも
少からで、また
一倍の
賑はひはありしならん
我は
誰ぞ
筇は曳きつつ
新墓の日に
殖ゆるすら朝眼楽しむ