ざさ)” の例文
杉の葉でない、ざさ笠印かさじるしとしたまぎれない菊池方の兵が、すでに、味方同士で激闘しているのが、そこかしこに見られ出している。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雪のせざさの金紋は、梅渓うめたに家の貴重品が入っているつづらとして、別に何の面倒もなく役人を黙認させた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ささえになった竹の幹は横にしなって、むらざさの葉からバラバラと瑠璃るりの雨……お米へ無残な露しぐれ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きのうまでの殿上人てんじょうびとが、どうやってその艱難かんなんに耐えたろうか。天皇も皇子も公卿もみな跣足はだしである。クマざさや木の根に血をにじませ、雨は肌にまで沁みとおったことだろう。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこには、雪のせざさの金紋を印した三つの青漆葛籠せいしつつづらが山形に積みかさねてある。このつづらは、すなわち京の堂上梅渓家どうじょううめたにけから、徳島城へ送るべく、四国屋に託されたものだった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白木しらき祭壇さいだんには四ほうざさの葉がそよぎ、御霊鏡みたまかがみが、白日はくじつのように光っている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雪のせざさの金紋が、薄暗いその部屋の隅に、妖魅あやかしめいた光を放って——。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みだれざさ
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)