穿)” の例文
一〇七卑吝ひりん貪酷どんこうの人は、金銀を見ては父母のごとくしたしみ、くらふべきをもくらはず、一〇八穿べきをもず、得がたきいのちさへ惜しとおもはで、起きておもひ臥してわすれねば
老いたる僧官カルヂナアレ達は紫天鵝絨の袍のえりエルメリノの白き毛革を附けたるを穿て、埒の内に半圈状をなして列び坐せり。僧官達の裾を捧げ來し僧等は共足元にうづくまりぬ。贄卓にへづくゑの傍なるちさき扉は開きぬ。
あるじ一〇あふごをとりて走り出で、の方を見るに、年紀としのころ一一五旬いそぢにちかき老僧の、かしら紺染あをぞめ一二巾をかづき、身に墨衣のれたるを穿て、一三つつみたる物を背におひたるが、つゑをもてさしまねき