砒素ひそ)” の例文
砒素ひそか何かのあとが残っています。第七の龕の中にあるのは……もうあなたはお疲れでしょう。ではどうかこちらへおいでください。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
十万の少年奴隷をさいなむ、酷使、栄養不良、疾病、砒素ひそ、阿片、銃殺……しかも、天下にこれを救おうとする者は一人も居ない。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
「八重梅!」とまたも放心的に、「お前はとんでもない間違いをしたよ。あれは眠剤ではなかったそうだ。恐ろしい毒薬、砒素ひそだったそうだ」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「どうも、感心できませんや、砒素ひその入っている合成酒ごうせいしゅはねえ。口あたりはいいが、むと胃袋の内壁ないへき銀鏡ぎんきょうで出来て、いつまでももたれていけません」
イヷンを真似たのつそりした態度がやがて表面うはべに現はれて来て、そしてある夜楢雄は砒素ひそを飲んだ。
六白金星 (新字旧仮名) / 織田作之助(著)
(楊がまっ青に光ったり、ブリキのかわったり、どこまで人をばかにするのだ。ことにその青いときは、まるで砒素ひそをつかった下等かとう顔料えのぐ[※2]のおもちゃじゃないか。)
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
さらにわがせいちからあらしめんがために砒素ひそ医局いきよくの棚より盗み
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かなしくも命の暗さきはまらばみづから死なむ砒素ひそをわが持つ
仏蘭西フランス砒素ひそ鉄剤を召していらっしゃるのです」
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
すずの鉱石の中に、酸化砒素ひそというやつが入っていますんで、日がな一日細かい鉱砂を吸っている奴等やつらは、砒素に中毒しているんです……しかし
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
珠枝さん、ハッキリは分らないが、どうやらこれは砒素ひそが入っていたような形跡がある。無水亜砒酸むすいあひさんに或る処理を施すと、まず水のようなものに溶けた形になるが、こいつは猛毒をもっている。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
身をもくべき砒素ひそかべ夕日さしそふ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)