矢継早やつぎばや)” の例文
旧字:矢繼早
ひとしく王子の無事を喜び矢継早やつぎばやに、の度の冒険にいて質問を集中し、王子の背後に頸垂うなだれて立っている異様に美しい娘こそ四年前
ろまん灯籠 (新字新仮名) / 太宰治(著)
僕は朝鮮に帰るなり素晴しい作品を矢継早やつぎばやに出したんだ。始めは野郎たち朝鮮にも天才のランボウが現われたと云って、目を丸くしやがった。
天馬 (新字新仮名) / 金史良(著)
近頃新鮮な作物を矢継早やつぎばやに発表して、世の中から注目されて居りますが、見たところまことに地味な男で、薄汚れた背広も、フケ沢山たくさんの長い毛も
と私は矢継早やつぎばやに問うた。その熱心な口調にいくらか受け太刀だちの気味になった妻木君は苦笑しいしい云った。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
手の内から飛ぶと、矢継早やつぎばやにまた拾いました。拾っては投げ、拾っては投げる米友の礫、それは上中下の三段から、槍をつかう如く隙間すきまもなく飛ぶのでありました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
嫌いとなると根こそぎ嫌いだが、好きとなると直ぐのぼせ上る抱一は矢継早やつぎばやに三、四回も続けて紅葉を尋ねた後、十日ほどもってから私のとこへ頗る厄介な提議を持込んで来た。
そうした時代に、浮川福平は都々逸どどいつの新作を矢継早やつぎばやに発表し、また仮名垣魯文の如きは、その新聞のほとんど半頁を、大胆にも芝居の記事で埋めて、演芸を復活させようとつとめた。
明治十年前後 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
いつの間にか十本から上の酒を矢継早やつぎばやに腹に入れていた。しきりと思い出される照葉の想念を追いやるごとくにしながら、くくれた顎の似ていることが、彼をけしかけるように彼の心意を攪乱かくらんした。
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
矢継早やつぎばやの名人で、機関銃のように数百本の矢をまたたく間にひゅうひゅうと敵陣に射込み、しかも百発百中、というと講談のようになってしまうが、しかし源氏には
花吹雪 (新字新仮名) / 太宰治(著)
花房一郎は独り呑込みに呑込んで、矢継早やつぎばやにジャズのレコードを掛けたり、途方もなく賑やかな話を始めますが、皆んなの心持は、あの晩の通りになるどころではありません。
踊る美人像 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
かゆをこしらえることだの、矢継早やつぎばやに、この室を重ねて見舞わねばならぬはずになっていますから、今度見えた時こそ、二人の底が割れて、アッとしばしあきれ返る幕が見られるはずなのを
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
春廼舎もまた矢継早やつぎばやに『小説神髄』(この頃『書生気質』と『小説神髄』とドッチが先きだろうという疑問が若い読書子間にあるらしいが、『神髄』はタシカ早稲田わせだの機関誌の『中央学術雑誌』に初め連載されたのが後に単行本となったので、『書生気質』以後であった。)から続いて『いもかがみ』を
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)