矢種やだね)” の例文
いくらばかりあせっても、矢種やだねがなくってはいくさはできません。残念ざんねんながら味方みかたけいくさかと田村麻呂たむらまろぎしりをしてくやしがりました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
今達者でおれと口真似をしたのは其の島人にはあらざるか、たゞし心の迷いかは知らぬが、かゝる矢種やだねのあるからには、何時いつしか人の来るに相違ない、あゝ有難い/\
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
内と外とで箭と石との戦いが暫く続いているうちに果たして敵の矢種やだねは尽きてしまいました。
北は酒匂川さかわがわを総堀となし、南は三枚橋、湯本、箱根、石垣山まで取入れ総構えとなし、東は海を限り、西は箱根山の尾先へ続き、その広大なることは日本無双、城中には矢種やだね玉薬たまぐすりは山の如く貯え
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
矢種やだね皆がらかたむけて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
ですから田村麻呂たむらまろ軍勢ぐんぜいも、勇気ゆうきすこしもおとろえませんが、さしつめさしつめるうちにてきかずはいよいよふえるばかりで、矢種やだねほうがとうにきてきました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)