真贋しんがん)” の例文
その真贋しんがんのほどは想像にも及ばなかったが、しかし価額表と照し合せての惣治の見当には、たいした狂いがなさそうに彼にも考えられた。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
もとより此の写本の真贋しんがんについて判定を下す資格はないので、「于時ときに天和二歳次壬戌如月記之、安積源太夫六十七歳」
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
穂先、飾り柄ともににせもの打ち仕立て、そしらぬ顔で納めましたるところ、かりにもご宝蔵を預かるお番士の目に、真贋しんがんのわからぬ道理ござりませぬ。
天下取りの大望棄てられて、一介の色餓鬼となられるか、人間真贋しんがん岐路わかれみち、ご熟慮あられい、ご熟慮なさりませ!
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
なんとなれば、彼等の判断をくだすべきものはその書画の真贋しんがんである。或は真贋に関する範囲内での巧拙かうせつである。
鑑定 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
さっそくたま真贋しんがん見分みわけることのできる人物じんぶつかかえることにいたそう。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
真贋しんがんの見わけに熟する為には「ほんもの」ばかりを見なければならぬ、たとひ参考の為などと言つても、「にせもの」に目をなじませると、かへつて誤り易いと言ふことであります。
文芸鑑賞講座 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そもそも鑑定家かんていかなるものはややもすると虫眼鏡むしめがねなどをふり廻して、我々素人しろうとおどかしにかかるが、元来彼等は書画の真贋しんがんをどの位まで正確に見分ける事が出来るかと云ふと、彼等も人間である以上
鑑定 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)