眞向まむき)” の例文
新字:真向
「ああ、それは私の爲事しごとの一つでしたわねえ。貴方に吩付いひつけられた。」女は居住まひを直して男の眞向まむきになつた。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
友の眠に就きし後、われは猶やゝ久しく出窓に坐して、かたを眺め居たり。こゝよりはたゞに廣こうぢの隈々くま/″\迄見ゆるのみならず、かのヱズヰオの山さへ眞向まむきに見えたり。
只今たゞいま是へいだすべしと言れけば同心はかしこまり候と立て行けるが頓て身には半※はんてん眞向まむきよりほゝへ掛て切下きりさげられし疵痕きずあとありせいひくひげ蓬々ぼう/\として如何にもみすぼらしなる者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その面は恰も我方へ眞向まむきになりたるが、われはそのまがふ方なきベルナルドオなることを認め得たり。かれは隣なる亭に歩み入り、長椅ヂノワに身を投げ掛けて、微かに口笛を鳴し居たり。