直弟子じきでし)” の例文
三宅軍兵衛の直弟子じきでしのうちに、以前、京都の吉岡家にいた者があり、また、本多家の子弟のうちにも吉岡門流の者が何十人となくある。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひどく古い録音ながら私はリストの直弟子じきでしの一人で、今に音の風格を伝えている、老デ・グリーフの滋味と愛情に心ひかれる。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
これから、聯合組に行くとこじゃが、こないだ買うた刀を二本、出してみんな? 本阿弥ほんあみ直弟子じきでしの、大層上手な鑑定家が来とるそうな。おれも、助広をて貰おうかと思うちょる。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
時に歌舞伎座作者部屋には榎本氏を除きて四人の作者あり。竹柴七造竹柴清吉たけしばせいきち黙阿弥もくあみ翁の直弟子じきでしにて一は成田屋づき一は音羽屋付の狂言方きょうげんかたとておも団菊だんきく両優の狂言幕明まくあき幕切まくぎれを受持つなり。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
辻新といえば、あすこのうちかしら——出入りの鳶職とびしょく——が、芝金しばきん直弟子じきでしで、哥沢うたざわの名とりだった。めっかちの、その男のつくったのが「水の音」という唄だ。自分の名の音がよみこんである——
剣道は卜伝ぼくでんの父塚原土佐守つかはらとさのかみ直弟子じきでし相弟子あいでしの小太郎と同格といわれた腕、やり天性てんせい得意とする可児才蔵かにさいぞうが、それとはもつかぬもち竿ざおをかついで頭巾ずきんそでなしの鳥刺とりさし姿。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)