うづ)” の例文
死して美きかばねとなりて、聽衆の胸にうづめられたるのみならん。されど詩人の胸は衆人の胸に殊なり。譬へば聖母の墓の如し。
猫をうづをはつた時、飯が熟し天麩羅が来た。二人は飽くまで食つた。楊庵は大食の癖があつて、酒をたしまなかつた。僕はそれを知つてゐたのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
先生の宿志しゆくし、ここにおいてか足れり。すでにしてきやうかへり、即日、ところ瑞龍山ずゐりゆうざん先塋せんえいかたはらさうし、歴任れきにん衣冠魚帯いくわんぎよたいうづめ、すなはち封し載ちし、自ら題して、梅里先生ばいりせんせいはかふ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鬼にしたる女をとらへて、今土にうづむなりとかたりしとなり。されどこれらは皆女子をんなごにて、男たるもののかかるためしを聞かず。凡そ女のさがかだましきには、さる浅ましきものにも化するなり。
此事こゝかしこにつたきこえて話柄はなしのたねとしけるが、こゝろざしあるものゝいふやう、源教がもちしかの髪の毛をうづ石塔せきたふたて供養くやうせば、お菊が幽魂いうこん黄泉地よみぢのかげにもよろこびなんといひいだししに
こゝにうづめらるゝものは、悉く化して花となり香となり、死者は再びこれより起たん。しかしてその詩は一たび死したる藝術をして、不死不滅の花となりて開かしめん。
楊庵は寺の僕に猫をうづむることを謀り、且布施金二朱を持つて来たことを告げた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)