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痘痕
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とうこん
ふりがな文庫
“
痘痕
(
とうこん
)” の例文
忽
(
たちま
)
ち一種の恐怖に襲われて目を
開
(
あ
)
くと、
痘痕
(
とうこん
)
のまだ新しい、赤く引き
弔
(
つ
)
った鉄の顔が、触れ合うほど近い所にある。五百は覚えず
咽
(
むせ
)
び泣いた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
右の瘠形の小男と申すは、満面薄き
痘痕
(
とうこん
)
ばらばらと点じ、目は細く光りて
眦
(
まなじ
)
りはきりきりと上に釣り、鼻梁隆起して何となく凸様の顔面をなし候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
しかし吾が顔に印せられる
痘痕
(
とうこん
)
の
銘
(
めい
)
くらいは公平に読み得る男である。顔の醜いのを自認するのは心の
賤
(
いや
)
しきを
会得
(
えとく
)
する
楷梯
(
かいてい
)
にもなろう。たのもしい男だ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
という声濁りて、
痘痕
(
とうこん
)
の
充
(
み
)
てる
頬骨
(
ほおぼね
)
高き老顔の酒気を帯びたるに、一眼の
盲
(
し
)
いたるがいとものすごきものとなりて、
拉
(
とりひし
)
ぐばかり力を
籠
(
こ
)
めて、お香の肩を
掴
(
つか
)
み動かし
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
桶屋は黒い
痘痕
(
とうこん
)
のある一癖ありそうな男である。
花物語
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
才学はあつたが、
痘痕
(
とうこん
)
のために
容
(
かたち
)
を
毀
(
やぶ
)
られ、婦を獲ることが難かつた。それゆゑ忍んで
行
(
おこなひ
)
なき梅を
娶
(
めと
)
つたのださうである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
色黒く
眉
(
まゆ
)
薄く、鼻は
恰
(
あたか
)
もあるが如く、
唇
(
くちびる
)
厚く、
眦
(
まなじり
)
垂れ、
頬
(
ほゝ
)
ふくらみ、
面
(
おもて
)
に無数の
痘痕
(
とうこん
)
あるもの、
豕
(
ゐのこ
)
の如く
肥
(
こ
)
えたるが、女装して絹地に立たば、
誰
(
たれ
)
かこれを見て節婦とし、烈女とし、賢女とし
醜婦を呵す
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
痘
常用漢字
中学
部首:⽧
12画
痕
常用漢字
中学
部首:⽧
11画
“痘痕”で始まる語句
痘痕面
痘痕志士