)” の例文
今までにどこか罪な想像をたくましくしたというましさもあり、まためんと向ってすぐとは云いにくい皮肉なねらいを付けた自覚もあるので
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たとへば我が良人をつと、今此処こゝに戻らせ給ふとも、我れは恥かしさにおもてあかみて此膝これなるふみとりかくすべきか。恥づるは心のましければなり、何かは隠くさん。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
されども渠はいささかも心にましきことなかりけむ、胸苦しき気振けぶりもなく、しずかに海野に打向いて
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お前の行いがましくなると「人の義とせらるるは信仰によりて、律法の行いに依らず」
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
学問上の研究の領分に属すべき事柄である。少しもましい事はないと思い返した。どんな事でも思い返すと相当のジャスチフィケーションはある者だ。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
されども渠はいささかも心にましきことなかりけむ、胸苦むねぐるしき気振けぶりもなく、静に海野に打向うちむかひて
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
僕はこういう市蔵を仕立て上げた責任者として親類のものからあんうらまれているが、僕自身もその点についてはましいところが大いにあるのだから仕方がない。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのにくむべき感謝状を、かういつた上でも、裂いて棄てんか。やつぱりましいことはないが、些少ちょっとも良心がとがめないか、それが聞きたい。ぬらくらの返事をしちやあ不可いかんぞ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ことごとく材料を第一のみなもとから拾い集めて大成したもので、もうからない保証があると同時に、学者の良心に対してごうましからぬ徳義的な著作であるのはいうまでもない。
そのにくむべき感謝状を、こういった上でも、裂いて棄てんか。やっぱりましいことはないが、ちょっとも良心がとがめないか、それが聞きたい。ぬらくらの返事をしちゃあ不可いかんぞ。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ましきは願わず。疚ましき中に蜜あるはうれし。疚ましければこそ蜜をもかもせと思う折さえあれば、卓を共にする騎士の我を疑うこの日に至るまで王妃をてず。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すべてお秀が背負しょって立たなければならないという意味であった。したがってお延の心は存外平静であった。少くとも、良心に対してましい点は容易に見出みいだされなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)