トップ
>
疎忽
>
そこつ
ふりがな文庫
“
疎忽
(
そこつ
)” の例文
安吉も今更はっと驚いたが、もうどうすることも出来なかった。問題が問題であるから、普通の
疎忽
(
そこつ
)
や過失ではとても済む筈がない。
半七捕物帳:37 松茸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これも
疎忽
(
そこつ
)
ものが読むと、花袋君と小生の
嗜好
(
しこう
)
が一直線の上において六年の相違があるように受取られるから、御断りを致しておきたい。
田山花袋君に答う
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
疎忽
(
そこつ
)
であり、性急であり、唐突なお
転婆
(
てんば
)
な動作をし、むやみに愛情に駆られ、いつも家の中の災難となった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あな
疎忽
(
そこつ
)
、
吐息
(
といき
)
いでたり。気にかけそ、何といふ事もあらぬを。また妻よ、
焙
(
ほう
)
じてむ玄米の茶を。来む春の話、水仙の話、やがて生れむ子のことなども話してむ。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「あっ、これは
疎匇
(
そそう
)
を」と叫びつつ、あわてて引き起こし、しかる後二つ三つ四つ続けざまに主人に向かいて
叮重
(
ていちょう
)
に辞儀をなしぬ。今の
疎忽
(
そこつ
)
のわびも交れるなるべし。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
そこで幇間が、津藤に代つて、その客に
疎忽
(
そこつ
)
の詑をした。さうしてその間に、津藤は芸者をつれて、
匇々
(
そうそう
)
自分の座敷へ帰つて来た。いくら
大通
(
だいつう
)
でも間が悪かつたものと見える。
孤独地獄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
審査の結了の時は、審査員すべてがさらに寄り合って、今一度精選して万一の
疎忽
(
そこつ
)
のないように審査会議がありますが、その際、万事済んで行った後で、一つ事項が残っている。
幕末維新懐古談:55 四頭の狆を製作したはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「堪能などとはとんでもない、申上げたとおりまことに
疎忽
(
そこつ
)
なものでございまして」
雨あがる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ヘイ
頓
(
とん
)
と心得ませんで…お前
疎忽
(
そこつ
)
だからいけない、お武家様のお腰の物に足をかけて
何
(
なん
)
のことだね、ヘイ
何
(
ど
)
うも相済みませんでございました、つい取急ぎまして飛んだ不調法を致しました
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かく読み終れる妾の顔に包むとすれど不快の色や見えたりけん、客はいとど面目なき体にて、アア
誤
(
あやま
)
てり
疎忽
(
そこつ
)
千万
(
せんばん
)
なりき。ただ貴嬢の振舞を聞きて、直ちに醜婦と思い取れる事の恥かしさよ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
知事は
真紅
(
まつか
)
な顔をして起き上つた。属官は自分の
疎忽
(
そこつ
)
のやうにお辞儀をしい/\フロツクコートの埃を払つた。フロツクコートは綺麗になつた。だが、肝腎の顔は
何
(
ど
)
うする訳にも
往
(
ゆ
)
かなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
余りに廷丁の
疎忽
(
そこつ
)
を
可笑
(
おか
)
しく思われたということである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
まことに相済みませぬ
疎忽
(
そこつ
)
を致しました。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
疎忽
(
そこつ
)
なものが花袋君の文を読むと、小生がズーデルマンの
真似
(
まね
)
でもしているようで聞苦しい。『三四郎』は拙作かも知れないが、
模擬踏襲
(
もぎとうしゅう
)
の作ではない。
田山花袋君に答う
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何か触れた手の
疎忽
(
そこつ
)
で、ほんの何かの裂傷でも生じた場合に、慌てて、閃めき流れて来る紙の一端を強く裂いて
除
(
の
)
けてる、その刹那こそはまた、如何に老練な工人どもがほとんど始末し
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
その時漱石は花袋君及びその他の諸君の高説に御答弁ができかねるほど感服したなと誤解する
疎忽
(
そこつ
)
ものがあると困る。ついでをもって、必ずしもしからざる
旨
(
むね
)
をあらかじめ天下に広告しておく。
田山花袋君に答う
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
疎
常用漢字
中学
部首:⽦
12画
忽
漢検準1級
部首:⼼
8画
“疎忽”で始まる語句
疎忽者
疎忽敷