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たまむし
春子さんが、
受け
取ってみると、それは、
美しい、
紅ざらを
見るように、
濃い
紫のぴかぴかとした
羽を
持った
玉虫の
死骸でありました。
引くもこぢたけれど二
月ばかりの
薄紅梅あわ
雪といふか
何か
知らねど
濃からぬほどの
白粉に
玉虫いろの
口紅を
文字ほそく君が歌ひとつ染めつけぬ
玉虫ひめし
小筥の
蓋に
「
姉さん、
玉虫を
捕まえてきたよ。
僕、
揮発油をつけて、
殺してやろうか?」と、
誠さんは、いいました。これをきくと、
春子さんは
「まあ、
玉虫って、こんなにきれいなもの?」と、はじめて、
玉虫を
見た
春子さんは、それに
見とれていました。