片岡かたおか)” の例文
某富豪は某伯の子息の養父にて、某侯の子息のさいも某富豪のむすめと暗に指を折りつつ、早くもそこここと配れるまなこ片岡かたおか陸軍中将の家に注ぎぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
浚稽山しゅんけいざんの陣を撤するときは夜が暗かったのに、またも月が明るくなりはじめたのである。月光と満地の霜とで片岡かたおかの斜面は水にれたように見えた。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
土佐の片岡かたおか健吉という人は、参謀板垣退助の下で、迅衝隊じんしょうたい半大隊の司令として、やはり御酒頂戴の一人ひとりであるが、大勢おおきおいのあまり本営を出るとすぐ堀溝どぶに落ちたと言って
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
亀井かめい片岡かたおか鷲尾わしのお、四天王の松は、畑中はたなかあぜ四処よところに、雲をよろい、繇糸ゆるぎいとの風を浴びつつ、あるものは粛々しゅくしゅくとして衣河ころもがわに枝をそびやかし、あるものは恋々れんれんとして、高館たかだちこずえを伏せたのが
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
片岡かたおか先生が、警察にひっぱられた」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
片岡かたおかゑんじゆにあかり
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
武男たけお君」は悲しんだ事、片岡かたおか中将が怒ってむすめを引き取った事、病女のために静養室を建てた事、一生の名残なごりに「浪さん」を連れて京阪けいはんゆうをした事、川島家かわしまけからよこした葬式の生花しょうかを突っ返した事
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)