煉瓦建れんがだて)” の例文
お三根は、ほかのお手伝いさんとはちがい、ひとりだけ針目博士の研究所である煉瓦建れんがだての建物の中に部屋をあたえられて住んでいた。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その街並は、皆大きな陰鬱いんうつ煉瓦建れんがだてでした。その一つの家の、正面の扉の上に、真鍮しんちゅうの名札が輝いていました。そこに黒でこう彫ってありました。
日本が外国と貿易を始めると直ぐ建てられたらしい、古い煉瓦建れんがだての家が並んでいた。ホンコンやカルカッタ辺の支邦人街と同じ空気が此処にもあふれていた。
淫売婦 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
人形町通りも半分焼けたので銀座に似た煉瓦建れんがだてになった。その幾軒かはテンコツさんの持家であった。住居も紳士風にした。石のような羊羹ようかんを紙に包んでくれなくなった。
凹んだ道は、かなり曲り曲って、小高い丘の方へつづいていましたが、そこをのぼりきったところに、小さい煉瓦建れんがだての番小屋のようなものがありました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
紳士は、そのようなビルディングの蔭を七つ八つも通りすぎてから、これはまた何と時代錯誤さくごな感じのする煉瓦建れんがだてのビルディングのドアを押して入って行った。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
見るからに、妖魔ようまんでいそうな古い煉瓦建れんがだての鬼仏洞の入口についたのが、四時十五分過ぎであった。
鬼仏洞事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
曾祖父そうそふの代からずっと医学者がつづいており、曾祖父の針目逸斎いっさい、祖父の針目寛斎かんさい、父の針目豹馬ひょうまと、みんな医学者であり、そして邸内に、古めかしい煉瓦建れんがだてではあるが
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
帆村の探偵事務所は、まるうちにあったが、今時いまどき流行はやらぬ煉瓦建れんがだて陰気いんきくさい建物の中にあった。びしょびしょにれたような階段を二階にのぼると、そこに彼の事務所の名札なふだが下げてあった。
什器破壊業事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と思っているうちに、古い煉瓦建れんがだてのかべが、みしみしと鳴りだした。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)