漫歩そぞろあるき)” の例文
夕方近くなるとカナカナやみんみんが鳴き出す。それをきゝながら、行水をザツと浴びて、庭樹の下などを漫歩そぞろあるきする。いかにも夏らしくて好い。
孤独と法身 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
それにれて私自身わたくしじしん気持きもちもずっとれやかになり、戸外そと出掛でかけて漫歩そぞろあるきでもしてたいというようなふうになりました。
口上が嬉しかったが、これから漫歩そぞろあるきというのに、こぶ巻は困る。張出しの駄菓子に並んで、ざるに柿が並べてある。これならたもとにも入ろう。「あり候」に挨拶あいさつの心得で
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
片側の商店あきないみせの、おびただしい、瓦斯がす洋燈ランプの灯と、露店のかんてらが薄くちらちらと黄昏たそがれの光を放って、水打った跡を、浴衣着、団扇うちわを手にした、手拭を提げた漫歩そぞろあるきの人通、行交ゆきちが
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つめた石塔せきとうに手を載せたり、湿臭しめりくさ塔婆とうばつかんだり、花筒はなづつ腐水くされみずに星の映るのをのぞいたり、漫歩そぞろあるきをして居たが、やぶが近く、ひどいから、座敷の蚊帳が懐しくなって、内へ入ろうと思ったので
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)