漢土かんど)” の例文
「食わせ者の又左(利家)を、また輪をかけて食わせて帰ったその方は、まことに、漢土かんどの智者謀将ぼうしょうにもまさる者だ。いや御苦労御苦労」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
漢土かんどには白雨を詠じたる詩にして人口に膾炙するもの東坡とうばが望湖楼酔書を始めとう韓偓かんあく夏夜雨かやのあめしん呉錫麒ごしゃくき澄懐園消夏襍詩ちょうかいゑんしょうかざっしなぞそのるいすくなからず。彼我風土の光景互に相似たるを知るに足る。
夕立 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
けだし漢土かんどくま酉陽雑俎いうやうざつそせつのごとくにや。およそ猟師れふし山に入りて第一だいいちほつすところの物は熊なり。一熊いちゆうればその皮とそのきもと大小にもしたがへども、おほかたは金五両以上にいたるゆゑに猟師れふしほつするなり。
漢土かんどでは玉人きゅうじんと称したもので至って身分の軽いものだ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それをまねたのが京童きょうわらべ貝独楽かいごま、ひなのぜに独楽、長崎の漢土かんど独楽、それから雨後の竹の子独楽、できるわできるわ、手品てじな独楽、半鐘独楽はんしょうごま、ゴンゴン独楽
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けだし漢土かんどくま酉陽雑俎いうやうざつそせつのごとくにや。およそ猟師れふし山に入りて第一だいいちほつすところの物は熊なり。一熊いちゆうればその皮とそのきもと大小にもしたがへども、おほかたは金五両以上にいたるゆゑに猟師れふしほつするなり。
「和子。もうよい、もうよいのだ。死ぬには及ばん。何事も信長の過ちから起ったことだ。まず信長の過ちをゆるせ。——むかし、漢土かんどにもこういう話があった」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)