清水谷しみずだに)” の例文
井戸は江戸時代にあっては三宅坂側みやけざかそばさくら清水谷しみずだにやなぎ湯島ゆしま天神てんじん御福おふくの如き、古来江戸名所のうちに数えられたものが多かったが
しかもそのくせ、卑怯ひきょうにも片陰かたかげを拾い拾い小さなやしろ境内けいだいだの、心当こころあたりの、やしきの垣根をのぞいたが、前年の生垣も煉瓦にかわったのが多い。——清水谷しみずだにの奥まで掃除が届く。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
太陽が清水谷しみずだに公園の森の向うへ沈んでしまうと、熊さんの日輪草も、つぼみました。
さて此の医者の知己ちかづきで、根津ねづ清水谷しみずだに田畑でんぱたや貸長屋を持ち、そのあがりで生計くらしを立てゝいる浪人の、萩原新三郎はぎわらしんざぶろうと申します者が有りまして、うまれつき美男びなんで、年は二十一歳なれどもまだ妻をもめとらず
いわんや待望の雨となると、長屋近間の茗荷畠みょうがばたけや、水車なんぞでは気分が出ないとまだむかしのままだった番町へのして清水谷しみずだにへ入り擬宝珠ぎぼしのついた弁慶橋で、一振柳を胸にたぐって
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私はただその気高けだか艶麗あでやかな人を、今でも神か仏かと、思うけれど、あとで考えると、先ずこうだろうと、思われるのは、うばの娘で、清水谷しみずだにの温泉へ、奉公ほうこうに出ていたのを、祭にいて
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)