浦島うらしま)” の例文
万葉集にある浦島うらしまの長歌を愛誦あいしょうし、日夜低吟ていぎんしながら逍遥しょうようしていたという小泉八雲は、まさしくかれ自身が浦島の子であった。
こうした変化がたった二週間ばかりの間に起こったのである。浦島うらしまの物語の小さなひな形のようなものかもしれない。
あひると猿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「音に聞く松が浦島うらしま今日ぞ見るうべ心ある海人あまは住みけり」という古歌を口ずさんでいる源氏の様子が美しかった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
半井卜養なからいぼくようという狂歌師の狂歌に、浦島うらしまが釣の竿とて呉竹くれたけの節はろくろく伸びず縮まず、というのがありまするが、呉竹の竿など余り感心出来ぬものですが
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
眠さめたる時浦島うらしまの玉くしげくやしくも世は既に次の世と代りあるべきか如何いかん。(一月二十七日)
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
名人とよばれた太海三之助さんのすけの一人息子でありましたが、海亀うみがめを助けてやつて、海亀に助けられたところから浦島うらしまといふあだ名がついて、後には浦島今太郎といふ通名とほりなになつて
動く海底 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
浦島うらしまの玉手箱だ、あけちやならねえ、——耳を貸しな、少し含んで貰ひてえことがある」
斷崖がけ清水しみづ龍女りうぢよべうあり。われは浦島うらしまか、ひめれいぞとしが、やがてんぬ。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
楽劇「浦島うらしま」!
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
程経て、ある日、大きなかめが来て、もし/\今太郎いまたらうさん、竜宮へ御案内と言つたなら、浦島うらしまそのまゝですが、実際の話は、今太郎君が放してやつた海亀はその後、さつぱり行方が知れなかつたのです。
動く海底 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
松が浦島うらしま(松が浦島今日けふぞ見るうべ心あるあまも住みけり)
源氏物語:23 初音 (新字新仮名) / 紫式部(著)