洲崎すのさき)” の例文
清澄は安房あわの国の北の端であって、洲崎すのさきはその西のはてになります。いくら小さい国だと言ったところで、国と国との両極端に当るのです。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
安房の洲崎すのさきの養老寺という寺の庭には、やはり頼朝公の昼飯の箸が成長したと称して、清水の傍に薄の株がありますが、これは前の話とは反対に、毎年ただ一本だけしか茎が立たぬので
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
与八と郁太郎いくたろうを除いた武州沢井の机の家の留守の同勢は、あれから七兵衛の案内で、無事に洲崎すのさきの駒井の根拠へ落着くことができました。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それは一口に房総半島とはいうけれど、駒井の根拠地である洲崎すのさきの鼻から見れば、ここは数十里をへだてている地点であります。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
駒井甚三郎は鳥銃を肩にして、西岬村にしみさきむらの方面から、洲崎すのさきの遠見の番所へ帰って見ると、まだ燈火あかりがついておりません。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
保田から洲崎すのさきまで、かなりの道程みちのりがある。ともかく、駒井もこのままでは捨てておけないから、椅子を立ち上って
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
駒井は、自分の仮住居かりずまい洲崎すのさきの番所の位置をよく説明して、行程のうち、ぜひ足をとどめるようにとのことを勧め、田山は喜んでそれを請け入れました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この写生帳は、房州の保田ほたへ上陸以来、鋸山のこぎりやまに登り、九十九谷を廻り、小湊、清澄を経て外洋の鼻を廻り、洲崎すのさきに至るまでの収穫がことごとく収めてある。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ここ安房あわ洲崎すのさきを最寄りとしては、常陸、磐城の海岸筋の鉱脈に当りをつけるのが順当だと思っていたのです。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
不在といっても、房州の洲崎すのさきへ帰ったのではない、昨日の夕方、ただひとりでどこかへ出かけていったままだとの返事でしたから、お角も少し失望しました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
茂太郎は、随意に、随所のものを利用して管絃かんげんをつくり、随意に鳴らすことを得意としています。洲崎すのさきの浜で、この蘆管をつくり、番所の庭で吹いていました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
駒井甚三郎も、田山白雲も、マドロス君も出て行ったあとの洲崎すのさきの陣屋から、いい気になって出て来た自分は、興に乗じてこんなところまで上って来てしまった。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
このほど江戸へ上って来たのは、洲崎すのさきの海岸で船を造らんがために、その費用と、材料と、大工とを求めんがために、来たものであることは申すまでもありません。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かくて、まだ朝といわるべき時間のうちに、早くも洲崎すのさきの、駒井の陣屋まで帰って来てしまいました。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
房州は洲崎すのさきじゃ、もと砲台のあった遠見の番所に隠れていたのが、仔細しさいあってこのごろ江戸へやって来た、うわさを聞くと、近頃そちは芝の江川のところに来ているそうだから
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
洲崎すのさきの番所では蒸したてのジャガタラいもの湯気を吹き吹きお相伴しょうばんになれようものを、ここまで来てしまっては、今の夕飯が覚束おぼつかないのみでなく、今晩の泊る所もわかるまい。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
心中のというような浮いた沙汰さたではなく、いわば凡俗の迷信と多数の横暴に反抗して、身を以て意地を守った気概のために海中に没入したのですが、それが、ゆくりなく洲崎すのさき
洲崎すのさきの、もと砲台の下のいわの上に立って、しきりに遠眼鏡とおめがねで見ている人がありました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「え、間違いありません、あれが上総、房州です、ほら、ごらんなさい、あの高いところが、あれが鋸山のこぎりやまでござんしょう、そうして、あれが勝浦、洲崎すのさき……間違いございません」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
房州の洲崎すのさきで船の建造に一心を打込んでいた駒井甚三郎——その船は、いつぞや柳橋の船宿へ、そのころ日本唯一の西洋型船大工といわれた豆州ずしゅう戸田へだの上田寅吉を招いて相談した通り
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鏡ヶ浦に雲が低く垂れて陰鬱いんうつ極まる日、駒井甚三郎は洲崎すのさきの試験所にあって、洋書をひろげて読み、読んではその要所要所を翻訳して、ノートに書き留め、読み返して沈吟しておりました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「田山先生、何はともあれ、申し上げなければならないことは、駒井の殿様は、あなた様の御出立中に、洲崎すのさきをお出ましになってしまいました。手ずからお作りになりました、あのお船で……」
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
駒井甚三郎は、房州の洲崎すのさきに帰るべく、木更津船きさらづぶねに乗込みました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
安房あわの国の洲崎すのさきで、駒井の番所へ闖入ちんにゅうし、金椎キンツイの料理を食い散らしてから、衣食がって礼節を戸棚の隅から発見すると、性の本能が横溢し、その狼藉ろうぜきの鼻を田山白雲に取っつかまって腰投げをくら
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
洲崎すのさきというところでございます」
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「房州の洲崎すのさきというところから」
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)