どまり)” の例文
小形こがた法帖ほうじょうみたいに折り畳んであるので、サラリと押し開いてみると、竹屋卿がわらじがけで実地を写したものらしく、徳島城の要害から、撫養むや、土佐どまり
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大沢を出てマヤクボで泊り——これは三時間位で登れるが、天幕を張っておいてから針ノ木岳あたりで遊ぶのだ——次の日は棒小舎乗越ぼうごやのっこしどまり。ここには野営地がある。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
あんた何方どちらへおいでゝごぜえやすねえ、もうハア日イ暮れ掛って来やしたから、おとまりは流山か松戸どまりが近くってようごぜえましょう、川を越してのお泊は御難渋でけえようだが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それでも、先刻さっき来た時に、一晩どまりだと言ったでねえかね。」
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この本軍は、ここ福良ふくらを発して、鳴門なると渦潮うずしおを渡り、阿波あわの土佐どまりに、足場を取る作戦と見えた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何うかしてを呼出す工夫をして居るんだが、おっかあに取入ってお母と付合になっちまってから、其ののち彼の娘をお貸しな、上手うわてくとか、一晩どまりで多摩川の鮎漁へ往こうと云っても
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)