沖合おきあい)” の例文
うんと集めてきて、山のように積みあげるんだ。もし今にも沖合おきあいに船影が見えたら、さっそくその枯草の山に火をつけて、救難信号きゅうなんしんごうにするんだ
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
龍巻も、さすがにギョッとして、浜辺のほうをすかしてみると、まッ暗な沖合おきあいにあたって、ボウと明るんできたのは、いかにも船火事らしい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時ならぬ沖合おきあいからのさけびに、みさきの村の人たちは、どぎもをぬかれたのである。しかってはみても、けっきょくは大笑いになって、大石先生の人気はあがった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
水茶屋の葭簀よしずは幾軒となく見渡すかぎり半円形をなしたる海岸につらなり、その沖合おきあいはるかなる波の上には正月の松飾りしたる親船、巍然ぎぜんとして晴れたる空の富士と共にそのほばしらそびやかしたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
布哇ハワイから、ミッドウェーの東方沖合おきあいを、北西に進んでいた筈だから今日になって、進路を真西に向けたとなると……」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
夜明けをあと三十分にひかえて、ぼくたちは恐龍号の昇降口しょうこうぐちをぴったりと閉め、そしていよいよ出港するとすぐ潜航にはいった。ずっと沖合おきあいへ出てから浮上した。
恐竜艇の冒険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だるま船は、川口を出て海に入ると、こんどはさらに速度をあげて、沖合おきあいへすすんでいきました。
豆潜水艇の行方 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その年の春、ひどい海底地震が相模湾さがみわん沖合おきあいに起り、引続いて大海嘯おおつなみが一帯の海岸を襲った。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その後、紀伊きい半島の沖合おきあいに、ヘリコプターの破片らしいものがうかんでいるのを見たものがあるというが、あるいはそれが、波立二の最後を物語っているのではあるまいか。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そこでランチは、沖合おきあいに信号灯の見えている平靖号さして、波をけ立てて進んでいった。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「お待ち。命令だ、撃ってはならない。それよりも、早く赤外線標識灯せきがいせんひょうしきとうを、沖合おきあいへ!」
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「この沖合おきあいまで、日本軍の目をかすめて持ってくるのに、ずいぶん骨を折ったよ。ホノルル号設計及び建造以上に、神経を使ったよ。まあようやくここまで持ってこられて、やれやれじゃ」
火がなくて、沖合おきあいへのろしもあげられないとなれば、いやでもとうぶんこの島にこもっている外ない。そうなれば食事のことを考えなければならない。何か空腹くうふくをみたすような果物かなんかを
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)