おんみ)” の例文
我この頃は大きに財に乏しきゆゑ何卒なにとぞ合力してくれよといひけるに、弟は答へて、先に我が窮困しておんみもとにいたりわずかの合力を乞ひしとき汝は何といひ玉ひし
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
付けねばならず彼是かれこれの取まぎれに何處どこへも暇乞いとまごひには出ず廿五日出社の戻りに須藤南翠すどうなんすゐ氏に出會ぬさて羨やましき事よ我も來年は京阪漫遊と思ひ立ぬせめても心床こゝろゆかしにおんみの行を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
こはかねてよりの覚悟なりけれど、大阪に到着の夜、父上の寝物語りに、両三日来中江なかえ先生、栗原亮一くりはらりょういち氏らしきりにわれに説きて、おんみ葉石はいしと結婚せしむべきことを勧められぬ、依っていずれ帰国の上
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
する者あれどおんみの絶技に比ぶべくもなしと褒めるに氣を得てやをんどりを見付てめんどりを呼ぶ聲怖しき物を見て叫ぶ聲などいろ/\の曲を盡す二人は興に入りいろ/\話かければ彼も鼻を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
さるほどに弟も生長して年頃としごろとなりしかば、縁ありしをさいわいとして兄はそのためつまを迎へりしに、この婦心狭くしてからぬものなりしゆゑ夫にむかひて、おんみはあたかも奴隷しもべのやうなり
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)