汐干狩しおひがり)” の例文
物見遊山ものみゆさんもうしてもそれはいたって単純たんじゅんなもので、普通ふつうはお花見はなみ汐干狩しおひがり神社仏閣詣じんじゃぶっかくもうで……そんなこと只今ただいまたいした相違そういもないでしょうが
三社祭さんじゃまつりの折お糸は或年踊屋台おどりやたいへ出て道成寺どうじょうじを踊った。町内一同で毎年まいとし汐干狩しおひがりに行く船の上でもお糸はよく踊った。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「ちょっと見ろよ」と栄二は海のほうへ顎をしゃくった、「もう汐干狩しおひがりをやってるぜ」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
時候は立春、暮春ぼしゅん余寒よかんあたたかうらら長閑のどか日永ひながの類をいふ。人事は初午はつうま二日灸ふつかきゅう涅槃会ねはんえ畑打はたうち雛祭ひなまつり汐干狩しおひがりの類をいふ。天文は春雪、雪解、春月、春雨、霞、陽炎かげろうの類をいふ。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
昔こゝ六浦むつらとよばれ汐干狩しおひがり
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
乗合自動車は境川の停留場から葛西橋をわたって、一方は江戸川堤、一方は浦安の方へ往復するようになった。そして車の中には桜と汐干狩しおひがりの時節には、弁当付往復賃銭の割引広告が貼り出される。
放水路 (新字新仮名) / 永井荷風(著)