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段階子
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だんばしご
と
衝と立ったが、
早急だったのと、抱いた
重量で、
裳を前に、よろよろと、お民は、よろけながら
段階子。
読み
上げられた
者は、
一人々々検疫医の
列んだ
段階子の
下を
通つて
上へ
出て
行く。『ミストル・アサヤーマ』。「ヤ」で
調子を
上げて
少し
引ツ
張つて「マ」で
下げる。
成程山のやうに
聞える。
段階子を降りて行く目の前に、
朧げながら浮んでくるのでございます。
留置場へ戻されがけに特高は後について
段階子を下りて来ながら
「はァい。」と
引張って返事をして、
雛妓は
膳を
摺らして立ち、
段階子の下で顔を傾けて、可愛らしく
みし/\と
段階子を
上つて来るのが、底の知れない天井の下を、
穴倉から
迫上つて来るやうで、ぱつぱつと
呼吸を吹く
状に、十能の火が真赤な脈を打つた……
冷な風が
舞込むので。