段階子だんばしご)” の例文
と立ったが、早急さっきゅうだったのと、抱いた重量おもみで、もすそを前に、よろよろと、お民は、よろけながら段階子だんばしご
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
げられたものは、一人々々ひとり/\検疫医けんえきいならんだ段階子だんばしごしたとほつてうへく。『ミストル・アサヤーマ』。「ヤ」で調子てうしげてすこつて「マ」でげる。成程なるほどやまのやうにきこえる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
段階子だんばしごを降りて行く目の前に、おぼろげながら浮んでくるのでございます。
両面競牡丹 (新字新仮名) / 酒井嘉七(著)
留置場へ戻されがけに特高は後について段階子だんばしごを下りて来ながら
一九三二年の春 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「はァい。」と引張ひっぱって返事をして、雛妓おしゃくぜんらして立ち、段階子だんばしごの下で顔を傾けて、可愛らしく
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
みし/\と段階子だんばしごあがつて来るのが、底の知れない天井の下を、穴倉あなぐらから迫上せりあがつて来るやうで、ぱつぱつと呼吸いきを吹くさまに、十能の火が真赤な脈を打つた……ひややかな風が舞込まいこむので。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)