楽譜がくふ)” の例文
もずはみな、一ぺんにび立って、気違きちがいになったばらばらの楽譜がくふのように、やかましく鳴きながら、東の方へんで行きました。
めくらぶどうと虹 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
歌にむかうとき彼女の頭脳ずのうは特別のはたらきをみせ、楽譜がくふをみてひとりで歌った。田舎いなかの子どもとしては、それはじつに珍らしいことだった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
その楽譜がくふは、老人ろうじんの太い書体しょたいで特別にねんをいれて書いてあった。最初さいしょのところには輪や花形はながたかざりがついていた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
秀吉ひできちは、いったから流行歌りゅうこうか楽譜がくふや、歌手かしゅまえをおぼえるのに一苦労ひとくろうでした。制帽せいぼうをかぶった二、三にん学生がくせいが、みせまえって、はなしをしていました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二枚の黒板には、いつも女先生がしていたように、右側には楽譜がくふが、左側には今日ならう歌が立てがきに書かれていた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ゴーシュも口をりんと結んでさらのようにして楽譜がくふを見つめながらもう一心に弾いています。
セロ弾きのゴーシュ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
老人ろうじんは顔をかがやかしながら、クリストフにその楽譜がくふ説明せつめいしてやった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
家でだれにみてもらうというでもないのに、数の感覚はマスノの楽譜がくふと同じだった。いつもコトエは満点であった。その他の学課も早苗についでよくできた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ひとりの少女が楽譜がくふをもってためいきしながらやぶのそばの草にすわる。
マリヴロンと少女 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)