桝屋ますや)” の例文
桝屋ますやの佐吉があげたのは八人だったが、あたしはその中で五人を選んだ。その五人はいまでも、いろいろな意味で人を苦しめ、だまし、泣かせている。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
する桝屋ますや久藏と云者と尋ねしに其頃新店なれども評判ひやうばんよきにや直に知ければ吾助は大いによろこまづ見世みせに行て樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そんな事を言ふうちに、二人は彌次馬に取圍まれた酒屋——桝屋ますや傳七——の前に立つて居りました。
安のむすめ二人ふたりのうち、けいは猿若町三丁目の芝居茶屋三河屋に、せんは蔵前須賀町の呉服屋桝屋ますや儀兵衛のもとにいた。また専六と成善との兄優善やすよしは、ほど遠からぬ浦和にいた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
今日こんちは! 桝屋ますやでございます!」
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
佐吉を桝屋ますやから抜いたのはおしのである。毎月一両という手当で縛り、いまでは根岸に住んでいて、十日に一度ずつおしのを「みまい」といって訪ねて来る。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ぞ待にける爰に飯焚めしたきの宅兵衞と云は桝屋ますや久藏が豐前ぶぜん小倉に居る時よりの飯焚にて生得しやうとく愚鈍ぐどんなる上最もしはく一文の錢も只はつかはず二文にして遣はんと思ふ程の男なれども至極しごくの女好にて年は五十を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「あ、おしのちゃん」とうしろからおとよが云った、「詳しいことは桝屋ますやの佐吉に訊くとわかってよ」
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
自身にうつたへ出ければ越前守殿一おう糺問きうもんの上桝屋ますや久藏を呼出よびいだされ吾助を召捕迄めしとるまで宅兵衞事主人預け申付るとて下られける斯て又吾助は隅田川すみだがはの花見に藤重ふぢしげ同道どうだうして到りしにはからず渡船わたしぶねにて忠八と面を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)