栄耀栄華えいようえいが)” の例文
旧字:榮耀榮華
そうしてソンナ連中の遺産を一人で掻き集めて栄耀栄華えいようえいがにふけりながら、よく、尻尾しっぽを押えられずに来られたもんだなあ、お前は……
継子 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
また御自身のやりたいことすべて——栄耀栄華えいようえいがでも、したいことをして、境を守り合っていたら、ずいぶん、よい御位置ではないかと思う。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ばくするものは言ふ。芸者したものはいもあまいも知つてゐるはずなり。栄耀栄華えいようえいがの味を知つたもの故芝居も着物もさして珍らしくは思はぬはずなり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
或は浜田や熊谷などが引き取ると云うかも知れませんが、学生の身で、私がさせて置いたような栄耀栄華えいようえいががさせられないのは、彼女にも分っているはずです。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
平家一門の栄耀栄華えいようえいがの陰には、敗戦の不運に泣く源氏の将兵があり、又、天皇と上皇は、互にけんせいし合いながら、政権をねらうという、不穏な空気が時代を支配していた。
そのざまは! 男のつら汚し! 片棒担いでくれ、栄耀栄華えいようえいがは思いのままだ、俺は国王陛下の弟だ、と年中大口たたいてたのは、どこの誰だい! 女たらしのカタリ犬め! よくもよくも
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
お前こそ、どうしてこんなところに来てるんだい、両国橋にいれば、ああして人気の上に祭り上げられて、栄耀栄華えいようえいがが尽せるのに、なんだってこんな山ん中へ逃げて来ているんだい。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
クララは第一の世界に生い立って栄耀栄華えいようえいがを極むべき身分にあった。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
それにくらべて栄耀栄華えいようえいがの砂馬はどうだ。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
栄耀栄華えいようえいがの女王様だ。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
すなわち……李太白が玄宗皇帝の淫蕩いんとうと、栄耀栄華えいようえいがへつらった詩を作って、御寵愛をこうむったお蔭で、天下の大詩人となったのを見た呉青秀は、よろしい。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その代りには一生みさおを立て通しておくれよという意味がこもっているのだしお遊さんもそれは承知であれだけ栄耀栄華えいようえいがをしても不品行なうわさはきいたこともないので
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「わたくしたちのあらゆる栄耀栄華えいようえいがのうちに、ただ一つ、これだけが残りました」
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
……これまでの方々かたがた様の御心づくし、何と御礼を申上げましょうやら。つたないこの身に余り過ぎました栄耀栄華えいようえいが。空恐ろしゅうて行く先が思い遣られまするばかりで御座います。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
人間はエラクなると増長したくなるものです。栄耀栄華えいようえいがをしたくなるものです。
父杉山茂丸を語る (新字新仮名) / 夢野久作(著)