村端むらはずれ)” の例文
炭焼すみやきじいさんの、まご秀吉ひできちは、よく祖父そふ手助てだすけをして、やまからたわらはこぶために、村端むらはずれ坂道さかみちのぼったり、くだったりしました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
村端むらはずれで、寺に休むと、此処ここ支度したくを替えて、多勢おおぜい口々くちぐちに、御苦労、御苦労というのを聞棄ききずてに、娘は、一人の若い者におんぶさせた私にちょっと頬摺ほおずりをして、それから、石高路いしだかみちの坂を越して
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その雲の中でも最も真黒な所が周蔵の家の頭になっている——私は全く日の暮れないうちに行って来ようと一生懸命に駆け出して、村端むらはずれの周蔵の実家に駆け付けたのである。
黄色い晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
村端むらはずれに住んでいた年若い男の狂人きちがいと母親の二人が同時に死んだことだ。この二人はその筋からわずかばかりの給助を得て日を送って来た。村の人々もこの母親をあわれんで物品を恵んだ。
(新字新仮名) / 小川未明(著)