朱柄あかえ)” の例文
声におうじてくりだした巽小文治たつみこぶんじ朱柄あかえやり、梅雪の体が地にもつかぬうちにサッと突きあげ、ブーンと一ふりふってたたき落とした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ピラリッ——朱柄あかえやり穂先ほさきがうごいて、やみのなかにねらいすまされた。と、その槍先から、ポーッとうす明るいがともった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みがきぬいた鉄砲の列、小隊四十名ぐらいずつ、十段に分列して、林のように流れて行く朱柄あかえの槍組などが、眼の前をゆく。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とはいったが、小文治も、海ならどんな荒浪にも恐れぬが、山にはなれないので、れいの朱柄あかえやりつえにして足をひきずりひきずりついていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長の耳へ、その声も届かず、近づきも得ないうちに、警固の者の朱柄あかえの長槍で、突き殺されるかもしれないのである。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朱いかぶと、朱地金襴きんらん戦袍せんぽう朱柄あかえの槍、朱い幟旗しきを揃えて、八卦はっけ吉瑞きちずいにかたどって陣列を立て、その中央に、大将曹操をかこんで、一そく、大地を踏み鳴らして入城した。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青貝柄あおがいえだの、かしだの、朱柄あかえだのの槍が十本程、一束にして藁苞わらづとに巻いて荷の中に立てかけてあった。八十右衛門は酔い頃に染まった顔を撫でながら、側へ行って、縄の束ねを切りほどいた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この頃彼はまだ髪もおろさず名も勝入と変えていなかったが——黙って次の間へ退さがったと思うと、ふたたび現われ、携えて出た見事なる朱柄あかえの大槍を座のまん中に立てて主客の方にむかい
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だッと、一足、義元の退さがる前へ、朱柄あかえの大槍はうなりを含んで突いて来た。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)