本末もとすえ)” の例文
それから次には木の本末もとすえ、および親子馬おやこうまという話があって、二つともに八百何十年もまえの、『今昔物語こんじゃくものがたり』という本に出ている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その木に本末もとすえあれば、本木の方が、尤物ゆうぶつ中の尤物たること勿論もちろんなり、それを手に入れてこそ主命を果すに当るべけれ、伊達家の伊達を増長致させ、本木を譲り候ては
貴嬢きみはよも鎌倉にて初めて宮本二郎にあいたまいたる、そのころの本末もとすえを忘れたまわざるべければ。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
かれは実際、事の本末もとすえを、ひややかに判ずるよりも、お米が身に関する故をもって、むしろ情において激せざるを得なかったから、言下ごんかに打出して事理を決する答をば、与え得ないで
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
長左衛門夫婦に救われて養育を受けし本末もとすえくわしく話して居りますところへ、小坊主が案内して通しました男は、年の頃五十一二で、色の白い鼻準はなすじの高い、眼の力んだ丸顔で、中肉中背
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どこまでも東京人らしい律義さで、本末もとすえをはっきりと、立てるものは立て押えるものは押えた。——由良一座というものゝ団結の、その後でも、事なくずっと泰平につゞいて行った所以である……
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
天上皇帝の御威徳の難有ありがた本末もとすえを懇々と説いて聴かせました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この後へもってきて木の本末もとすえ親子馬おやこうま、または灰繩千束あくなわせんぞくなどをつけたしたものが多く、そのためにまた負われたのを父親とし、その親がんだという和歌までを取りかえているものがある。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
楽屋なる居室いまの小窓と、垣一重ひとえ隔てたる、広岡の庭の隅、塵塚ちりづかかたわらよこたわりて、たけ三尺余、周囲まわりおよそ二尺は有らむ、朽目くちめ赤く欠け欠けて、黒ずめる材木の、その本末もとすえには、小さき白きこけ
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)