まつ)” の例文
「どうも妙な顔だな。如何にも生活に疲れてゐる様な顔だ。世紀まつの顔だ」と批評しした。三四郎は、此批評に対しても依然として
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ラプランドの夏もすぎて、いつのまにか、九月のまつになりました。地上は見わたすかぎり、いちめんの雪におおわれて、まっ白です。雨やあらしの日が多くなりました。
日が出ると、晶々きらきらとした白金まつになり、紫水晶末になるのである。山風をあらしと云えば霜の威力を何にたとえよう? 地の上の白火事しろかじとでも云おう。大抵のものはただれてしまう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
野はらのはてはシベリヤの天まつ
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
かへせしこと、このしままつ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
三四郎は世紀まつ抔と云ふ言葉を聞いてうれしがる程に、まだ人工的の空気に触れてゐなかつた。またこれを興味ある玩具おもちやとして使用し得る程に、ある社会の消息に通じてゐなかつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)