曲線カーブ)” の例文
頭こそ青々と丸めて居りますが、柔かい眉の曲線カーブ、黒いしたたる瞳、真珠色に少し紅味のさした頬——いやいやそれは物の数でもありません。
百唇の譜 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
一方、操縦室キャッブの床に倒れていた井上順三の屍体は、機関車の加速度と、曲線カーブに於ける遠心力の法則に従って、あの通りに投げ出されます。
気狂い機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「そりゃ君の説は勘定かんじょうが少し違うぜ、地球の曲線カーブは一マイルについていくらいくらだぜ。君の先の例に取ったなんマイル以上にある船の帆柱ほばしら云々うんぬん
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
トンネルの曲線カーブまで来たときに、そのはずれの方にあの男が立っている姿が遠眼鏡をのぞくように見えたのですが、もう速力をとめるひまがありません。
つけさせてみたら、やっぱりちゃんとプロバビリティ曲線カーブになったから、早速講義の材料に使ったことがあったよ
先生を囲る話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
玄関への青い芝生の中の道が、曲線カーブをしている為に車寄せの様子などは、見えなかったが、ゴシック風の白煉瓦の建物は瀟洒しょうしゃしかも荘重な感じを見る者に与えた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
次から次に福太郎の眼の前の曲線カーブの継ぎ目の上に乗りかかって来ると、第一の炭車トロッコが、波打った軌条に押上げられて、心持こころもち速度を緩めつつ半分傾きながら通過した。
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
坂口は前夜公園の小径を入って径の二股に別れたところから右手の路をとった。左手の路は曲線カーブを描いて大迂回をしながら、腰掛の傍にいて、更に北に向って走っているのであった。
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
肩の曲線カーブに打つづくきよらの背中があるのです。
この女の最初の印象が、童女のやうに清らかなのは、その碧ずんで見える眼と、唇の素晴らしい曲線カーブのせゐだつたでせう。
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
現場の曲線カーブ線路と言うのは、B駅から一マイル足らずのH駅寄りにあってカーブの内側は上り線に沿って松林、外側は下り線に沿って一面の桑畑なんです。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「君、あの階段の磨り減り方がプロバビリティ曲線カーブになっているなあ」と額を指差しておられる。
先生を囲る話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
福太郎が足を踏掛けていた曲線カーブの処で、折重なって脱線顛覆したもので、さもなければ福太郎は、側圧で狭くなった坑道の中で、メチャメチャに粉砕されていた筈であったという。
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
少し高い背が、舞姫のような美しいポーズになると、右の腕が美しい曲線カーブを描いて上に延びて、たった一つの電灯をパチンと消されて了いました。
が、駅の西端の大きな曲線カーブの終りに近く、第二の屍体が警官の一人に依って見張られている地点まで来ると、急に喬介は立上って車を止めさした。そして助役へ
気狂い機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
多い毛、品の良い下ぶくれの細面、お人形のような無邪気な唇の曲線カーブが、どうかすると直ぐ泣き出しそうで、平次もうっかりしたことがけそうもありません。
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
と言うのはですな、H駅を去る西方約六マイル、B駅近くの曲線カーブになっている上り線路上に、相当成熟し切ったものらしい大きな黒豚の無惨なバラバラ屍体が発見されたんです。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
それが何んかの拍子ににつこりすると、小さい唇の、上向きの曲線カーブが、とろりとするような媚を含んで、大きい片ゑくぼ、それは實に、思ひも寄らぬあでやかな顏になるのでした。
それに第一転轍器ポイントや急曲線カーブの多い構内で、そんな急速な出発をするなんて無茶な運転法則はないんだから、この73号の変調は、先ずこの事件の有力な謎のひとつと見て差支ないね
気狂い機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
キリツとした顏立に枝からもぎ取つたばかりの桃の實のやうな銀の生毛うぶげ曲線カーブのきつい、可愛らしい唇の反り、蛾眉がび鳳眼ほうがん——といふといかめしくなりますが、さう言つた上品な道具立のうちに