普通あたりまえ)” の例文
普通あたりまえの人間がお金を欲しがるのは楽をしたいためで御座りまする。つまり、恥を掻きとうないため、義理が欠きとうないため、人情を
何うも普通あたりまえの先生でない、たしか去年でげしたか、田月という菓子屋で盗賊を押えなすったって、私の屋敷でもえらい評判でねえ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼女あれ最早もう女ですよ。その事は私がよく言って聞かせて、誰にでも普通あたりまえに有ることだからッて教えて置いたもんですから、ちゃんと承知してる。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
夫というのは懶惰者なまけものの、酒飲みで普通あたりまえの人間でない。けれど翁は斯様こんな者でも自分の傍において意とせなかった。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
すると昨夕から今朝にかけて美しいお宮が普通あたりまえ淫売おんなになって了った。口の利きようからして次第に粗末ぞんざいな口を利いた。自分の思っていたお宮が今更に懐かしい——。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
とにかく私がラサ府において種々の点から観察した概略のお話は既に述べたごとくでありまして、いずれ凡聖同居の浄土にはいろいろのものがあるのは普通あたりまえのはずである。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「しかし、こんなことはめったにあるまいが、とにかく今年じゅうには嫁を取らせて、別家させて、自分の始末は自分でやらせることにしたら、ちっとは普通あたりまえになるだろう」
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
普通あたりまえの漢学者であって、大阪の藩邸に在勤してその仕事は何かというと、大阪の金持かねもち加島屋かじまやこういけというような者に交際して藩債の事をつかさどる役であるが、元来父はコンナ事が不平でたまらない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そのうちに世界の丸いことがホントウにわかって来ると、そこで一人前の女になって日本へ帰って来て、チャンと普通あたりまえの結婚をするんだ。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
道具や何かは親類にこかして空明からあきにして預けて、あとでずうッと品物が廻って来るようにと云うのが普通あたりまえだのに、残らず店の品物まで売ったという
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「男は何方も好いの。」と、普通あたりまえに言った。私は、それを開いて、腹では一寸けた。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「何が変なものか。旅では、お前さん、それが普通あたりまえだ」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「あの窓から普通あたりまえの姿勢で眺めますと、宮城と海上ビルデングと、今、バード・ストーン一座が興行をしている草ッ原が見えます」
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あとにはおっかさんが片息になって倒れているのを、みんなで介抱しているようであったが、離れた処から見ていた上に、言葉が普通あたりまえと違っているので
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
豚吉ぶたきちせいの高さが当り前の半分位しかないのに、その肥り方はまた普通あたりまえの人の二倍の上もあるので、村の人がみんなで豚吉という名をつけたのです。
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)
「……そ……それがで御座います。旦那方の前では御座いますが、私どもは一口に非人と言われておりまするだけに、普通あたりまえの人間とはチットばかり了簡が違いまする」
普通あたりまえにしてくれ給え。短かいのは亜米利加アメリカ帰りみたいでいけない」
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
して実は普通あたりまえの隠元豆を蒔いといたんだよ。ちゃんとわかっている
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)